「傾聴と共感的理解の秘訣とは」メルマガ第136回:2015年4月6日


「ええっと・・何を言おうかな・・・・」



ほとんどの人がすぐにこんな状態に陥ります。


私も駆け出しの頃はそうでした。


相手(クライエント)の話を聞きながら、こうなっていたのです。




カウンセリングの経験があまりない頃。


多くの人がカウンセリングの中で、クライエントの話を聞けません。


そして頭の中では、次に何を言おうか考えている。


そういう状態でいるため、ますます話が聞けなくなります。




話が聞けるようになるために必要なこと。


それは、クライエントの話を一言半句漏らさず聞き取ることです。


これを実践するには、相応の集中力を要します。


短い話ならいいですが、5分、10分となると大変です。


時には15分以上の話に及ぶ時も珍しくありません。


その話を全て聞き終わるまで、終始、一言半句聞き取るということです。




そうして話を最後まで聞き終わった瞬間に、カウンセラーは応答を発します。


そこまで聞いた話に対しての理解を元に、言葉を投げ返すわけです。


ところが、この投げ返す言葉がなかなか出てこない。

 

返すべき言葉が浮かばない。

 

これが経験の浅いカウンセラーの悩みどころです。




浮かばないといって、だまっているわけにはいきません。


とにかく何か言葉を投げ返さないとならない。


なぜなら、黙っていたら、クライエントは不安になる。


自分の話したことに反応がなければ、当然不安になります。




そこでカウンセラーは無理やり言葉を並べる。


どうしても浮かばなければ、咄嗟に質問を返してしまう。


それも思いつきレベルの質問ですから、クライエントは「?」となる。


「え?これだけ話して、返ってくるのがその質問?」と思われてしまいます。




つまり、1時間の面接の最初のやり取りで、

カウンセリングの流れがこうして決まってしまいます。


もちろん不適切な流れが決定です。


問題の本質に二人で取り組んでいける流れにはなりません。




私も聞く力などが未熟な頃、このジレンマにぶつかりました。


師匠の吉田は、本当にすごい応答を発していました。


なぜ、あれほど的確な反応を瞬時に取れるのかがわかりませんでした。


ある時、吉田は自分の応答について、こんな説明をしてくれました。


それは、自分の面接の録音を流しながら、

自分の応答を解説するという授業の中のことでした。




「この辺は、何も考えていないんだ。頭は働いてない」


面接のある場面から、吉田は自分の応答をそう解説し始めました。


「言葉が勝手に出てくる。何を言おうか・・なんて、全く考えてない」




その解説を聞いていた私の頭の中は、こういう状態でした。




「??????????・・・・」





当時は訳がわかりませんでした。


キツネにつままれたか、煙に巻かれたような気分でしたね。




しかし、今はわかります。




そう、頭で考えていてはダメなんです。


当時は、吉田が「何も考えていない」といった意味が、私にはわかりませんでした。


しかし、今は「何を言おうかと考えては聞くことができない」

と言いたかったのだとわかります。


何を言おう、どんな言葉を返そうと頭で考えている時点で、

相手の話を一言半句に至るまで正確に聞くことはできない。


人間は2つ以上のことに同時にしっかり集中することはできません。


しかし、一つのことにしっかり、そして深く集中できれば、

その周辺や全体まで注意が向けられる。


そのことを身をもって知ることが出来たとき、

初めて吉田が伝えようとしていた「感覚」に近づいた気がしたのです。




クライエントの話をひたすら聞き続ける。


それをするだけで、自ずと言葉は浮かんできます。


それは、集中して聞くことで理解が深まり、

その理解が自分の言葉として浮かんでくるからです。


これはいくら理論学習をしてもわかりません。


心理の本を何冊読んだところで取得できません。


理屈ではなく、技能として身につけなければわからないからです。


身につけるには正しい訓練を繰り返すこと。


そして自分の面接をできる限り正確に振り返って次に生かすこと。


こういった経験を積み重ねるしかありません。




しかし、この訓練をきちんと積んでいる人が、

今の臨床の世界では果たしてどの位いるのかはわかりません。


やれば力がつくのに、やる人はなかなかいません。


だからこそ、やったら違ってきますよね。




吉田はこうも言っていました。



「とにかく、聞くことさえできれば、何とかなる」



この「何とかなる」の意味も、今はわかるようになりました。


わかるようになったというのは「感覚的に」理解できたという意味です。




いずれにしても、人間は目の前の物事が完全に呑み込めたとき、

それを言語化する能力をもっています。


例えば「なるほど、わかった!」という反応がそれです。


共感的理解とは、この反応が深いレベルで起きた状態をいいます。


「つまり、こういうことでしょ!」「そうだったんだ!」


これを自分の言葉で表すことですね。




これは本当に理解ができた時以外には起きない反応です。


中途半端な理解ではこういう反応にならないのです。


早合点も、これに似た反応にはなりますが、

しっかりとした理解とは、その確かさが違います。


早合点は衝動的な反応ですが、共感的理解は自然で確かな反応です。


迷いもブレもない、スッと出てくる、それでいて確かな感覚です。




これは訓練で必ず獲得できる反応です。


これが心理面接、カウンセリングで最も必要な技法、感覚です。


この反応を身につけ、様々なケースに対応する力をつけてください。




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