「カウンセリングの上達とは」メルマガ第135回:2015年3月19日


失われた「上達」という経験。



・・・と書くと、何か本のタイトル見出しみたいですね(笑)


でも、今日お伝えしたいことを一言でいうと、こうなります。




私たちの日常生活、けっこう便利になりましたよね。


欲しいものが「すぐに」手に入る。


「手軽に」いろいろなことが出来る。


忙しい日常生活では、ありがたいことだといえます。




しかし、この便利さ、手軽さを、物事の習得に持ち込む。


すると、途端におかしなことになってきます。




手っ取り早く物事を習得したい。


即効性のあるものがいい。


「すぐに」「手軽に」「簡単に」という発想を、

例えばカウンセリングの技術の習得に持ち込んだらどうでしょう?




前回のメルマガでは、カウンセリングで「聞ける」ようになるまで、

私も私の師も5~6年かかったとお伝えしました。


これを「そんなにかかるのか、やっていられない」と取るのか?


それとも「その位かかるのは当然だから、とにかくやってみよう」と取るのか?


どちらの捉え方でカウンセリング技術を突き詰めるのか。


それによってその後の進歩・向上は大きく違ってくるでしょう。




「上達の法則」という本があります。




岡本浩一という社会心理学者の著書ですが、内容は秀逸です。


この本の中に、とても興味深い記述があるので、ご紹介します。



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技術習得前には、いろいろなものが無意味なものとして認知され、

目にもとまならなければ記憶にも残らない状態である。


技能を習得する過程で、それまで無意味処理されてしまっていた刺激が

有意味処理されるようになり、意味のある単位で認識されるようになる。


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この記述は物事の上達、それに必要な技術の習得について、

一般的な過程を述べたものです。


これはまさにカウンセリングの技術習得にも当てはまる内容です。




養成塾で「傾聴トレーニング」や「事例検討」を行います。


その時に、まさにこの現象が見られるのです。


つまり、同じ話(の録音や実演)を聞いているのに、

人によって聞こえ方、意味の認知度、理解度が違ってくるのです。


はっきりいえば、訓練を積んだ人間には認識できる要素が

そうでない人間には、それこそ何度聞いても認識できないのです。




「聞ける」感覚を獲得した人間には、クライエントの話の中で、

重要な部分はどこか?意味するところは何か?がわかります。


クライエントが一番言いたかったこと、訴えたかったこと。


それらがなんであるか「瞬時に」見えてくるのです。




ところが、「聞ける」感覚を獲得できない段階では、

録音を何度聞いても、それがわかりません(聞こえません)。


話の内容や枝葉末節に囚われてしまい、

一番重要なもの、全体像などが認識できない。


逆に全体に目を向けると途端に焦点がぼやけてしまい、

細やかさ、緻密さ、必要な内容把握が疎かになってしまう。


この状態を行ったり来たりして、なかなか的を射た理解ができないのです。




そしてこの習得にはそれだけ時間も手間もかかります。


そこに「手っ取り早さ」「手軽さ」の入り込む余地は、

残念ながらありません。


しかし、この時間と手間の経験を積み重ねていくこと自体に、

実は大きな利点が含まれているのです。


技術の習得に取り組むという忍耐と根気の要る経験。


この経験がカウンセラーに「深み」「思慮深さ」「洞察力」を与えてくれるからです。




聞けるようになるための間隔の習得。


これはやはり、簡単な道のりではありません。


だからこそ、そこでの苦労の経験は、

取り組む人間に、人間としての「年輪」を刻んでくれます。


その苦労が多ければ多いほど、それをあきらめずに克服すればするほど、

人間的な年輪はキメ細かい積み重ねとなっていきます。


キメの細かい年輪を有した大木は、とても強い。


ゆっくりと根を張り、ゆっくりと年輪を刻みます。


年輪と年輪の間が少ないほど、ゆっくりと成長したことになりますね。


そしてそうした年齢を有した大木は、ちょっとやそっとのことでは倒れません。




手っ取り早く、手軽に、簡単にという発想できたカウンセラー。


労を惜しまず、確かな技術習得に励み続けたカウンセラー。


クライエントは目の前のカウンセラーを、それぞれどう感じるでしょうか?


そしてカウンセリングを介してなされるやり取りを通して、

クライエントはどちらに何を感じるでしょうか?



技術習得に妥協を持ち込まなかった人間には、

何ともいえない「安定感」や「深み」を感じます。


それは主張などしなくても、自然と醸し出されてくるものです。


そうやって醸し出されてくるものによって、セラピーの成否は決まってくる。


いえ、醸し出されてしまうものによって、カウンセリングが左右される。


そう言っても、決して言い過ぎではないと思うのです。




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