「何もしないことが大切」メルマガ第120回:2014年12月11日



「カウンセリングは何もしなくてもいい?」



カウンセリングにはいくつかの技法があります。


単純応答、繰り返し、リード、明確化、場面構成・・・・


どれも基本的な技法ですね。


心理面接を実施する上で、技法は確かに重要です。


こうした技法が専門化されればされるほど、面接の成果は出てきます。




しかし、それらは「生きた技法」である必要があります。


今回は、技法を生きたものにするためのポイントをお伝えします。




私がスクールカウンセラーをしていた時のことでした。


ある小学3年生の男の子とカウンセリングをすることになりました。


仮にC君としましょう。




C君は家や学校でお金のトラブルを起こしてしまったのです。


お母さんの財布からお金を盗りました。


教室でクラスメイトに自分の持ち物を売りました。


この事が発覚して、問題になったのです。




保護者にも連絡がいきました。


学校側はC君の母親に私(スクールカウンセラー)との面接を勧めました。


そこでまず、C君の母親が相談室にやってきました。


お母さんは今回の一件でとても胸を痛めていました。


時折り涙を流しながら、今回の一件や我が子への思いを話してくれました。



母親「あの子には、習い事や勉強のこと等、いろいろ言い過ぎたかもしれません」


私「それが負担になったのではないかと?」


母親「そう思うんです。最近、家であまりしゃべらなくなって・・・」


私「C君の胸の内が気がかりなんですね」




そんないきさつで母親は、C君のカウンセリングを希望しました。


本人もOKということで、C君とのカウンセリングが始まりました。




相談室に通うことになったC君は、

カウンセリングではあまり話さない子でした。


カウンセリングの時間は毎週30~40分くらい取っていたのですが、

その間、ほとんどしゃべらないのです。



私「話すこと、話したいこと、なにかある?」


C君「・・・・・特にない」


<沈黙3分>


私「・・黙って座っているのは窮屈ではない?」


C君「・・・・大丈夫」


<沈黙5分>


私「なかなか話せないというか、言葉にできない」


C君「・・・・・・・」


私「できないというか、話すことが浮かばない」


C君「<うなづく>・・・・・」


私「そうか(笑)・・浮かばないかぁ・・・」


<沈黙7分>


私「今、大変だなあとか、嫌だなあと思っていること、ある?」


C君「<沈黙数十秒>・・・う~ん・・・・」



・・・こんな調子です(笑)


こうしたやり取りをしてまた沈黙の時が流れるのです。


時には20~30分、沈黙の時が流れることも、ありました。


しかし、来週どうする?と聞くと、C君はニヤッとしながら

「・・・(相談室に)来る」と答えるのです。


そこには「母親や先生からの勧めだから」というだけではない、

C君の小さな"意志"のようなものを私は感じました。




こんな面接が数回続いたある日、担任の先生から話がありました。


C君の学校での様子が、見違えるように良くなっているという報告でした。


またお母さんからも報告が入るようになりました。


家ではとても落ち着くようになり、自分の言いたいことも

はっきりと言うようになったというのです。


そしてお母さんが家でC君に「カウンセリングにはまだ行くの?」と聞くと、

ニヤっとしながら「・・・行くよ」と答えたそうです。




カウンセリングも5回目となりました。


面接の最後、いつものように「来週は?」と聞くと、

C君の様子がいつもと違いました。


いつもより真っ直ぐ私の顔を見ながら、何かを伝えたい様子でした。


そこで、少し私は黙って待っていました。


C君が自分の意志を自分の言葉で伝えられるようにと思ったのです。


するとC君は、やや照れくさそうに「・・・もう大丈夫」と答えました。


そうです、C君は自らカウンセリングの終結を宣言したのです。


結局、C君とのカウンセリングはこの5回目で終了しました。




さて、あなたはこの事例から、何を感じますか?


私は何かC君を諭したり、何かを説いたり、励ましたりしたわけではありません。


質問を重ねてC君の内面を引き出そうともしませんでした。


しないというよりは、出来なかったというべきでしょう。




私がC君を前に意識していたことは、ただ、

C君の存在をそのまま受け止めようということでした。


C君の出したシグナル、C君の小さな訴え、C君のわずかな感情表明。


それらを出来る限りそのまま受け止めようと努めました。




話したくなければ黙っていればいい。


話したいことがあれば話してくれればいい。


私はそんな意識でC君の目の前に座っていました。




そして心の深い所では、限りなく安定している感じを大事にしました。


それこそ自然体のままでいるようにしました。


何かをするのではなく、ただ「そこにいる」ようにしました。


ひたすら「そこにいる」ようにしました。


そうした私の心はC君の深い部分に伝わったようです。



「ただ、そこにいる」「ひたすら、そこにいる」



ここには「肯定的に」「純粋に」という感覚が必要です。


この深い感覚こそがクライエントの心に伝えわり、

カウンセリングの技法も生きたものにしていくわけです。



何をするかではなく、どうあるか?



最終的にカウンセリングの成否を決めるのはそこです。


傾聴にしても「ひたすら聞かせて頂く」という心がなければ、傾聴にはなりえません。


決して表面的な技法で通用する世界ではないということですね。


傾聴が難しい、上手くいかない、納得のいく傾聴ができない。


そんな時は「心と技法」の両方を高めるという発想に変えましょう。



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