「オウム返しは間違い、正しい応答はこれ」メルマガ第117回:2014年11月17日



「オウム返しと生きた応答、その違いとは?」



先日、あるIT企業の社員研修で、カウンセリングの実習を行いました。


内容は傾聴トレーニングを一日かけて実施。


合計4組のロールプレイの実技を行い、その内容を録音。


4組全ての録音記録を聴き返し、会話の内容を検討しました。




その研修で、こんな場面がありました。




その中のお一人(女性)が、とても小気味の良いロープレを披露。


仮にTさんとしましょう。




Tさんの応答は比較的オウム返しに近いものでした。


しかし、迷わずテンポよく反応されたので、

他の受講者からは羨望の眼差しを受けていました。




「カウンセリングを勉強されたこと、あります?」




私はTさんにそう訊くと、人事部門の方で、しかもCDA

(キャリアディベロップメントアドバイザー)の資格を持っていました。


さらに実践経験もあるとのことでした。




「それは素晴らしい、だから歯切れの良いロープレになったんですね」


私はTさんににそう言いました。


そして、こうも付け加えました。




「でも、もっと良くなりますよ」




Tさんは私のその言葉を聞いて、眼を輝かせて「はい」と言いました。


他の3組のロープレは、カウンセリングの実践経験もなければ、

学習経験すらない人たちのものでした。


ですから検討内容も、そうした人たちに合わせたものでした。




ところが、Tさんは半分プロのようなもの。


そこで私もプロモードに切り替え、

そのロープレの録音記録を検討させて頂きました。


時間があまりなかったので、「ここはこう応答する、理由はこう」

というぐあいに、パッパッパ・・と検討を進めていきました。


CDAのTさんは熱心にメモを取っていました。


一方、他の受講者は、それまでとは違う検討の雰囲気に、

半ば圧倒されているようでした。




彼女は研修終了後、わざわざ私の前にあいさつに来られ、こう言いました。



「今まで学んだこととは全く違う次元の内容でした。

まさかここでこんな学習ができるなんて、本当に感謝です」




実は彼女のロープレの検討に入る前に、私はこういう指摘もしました。



「もしかすると面接では、同じ話がループすることはないですか?」



彼女は「実はそうなんです」と吐露するのでした。


私が適切な応答とその根拠を提示していくことで、

彼女は自分の課題を克服するヒントを得たようでした。




では私はなぜ、彼女の面接の問題点を即座に言い当てたのか?


それは、彼女の応答の特徴にあります。




彼女は話し手の話の中から、重要だ、カギになると思った部分に反応していました。


つまり、重要でカギになると思われる言葉をオウム返ししたのです。


厳密にはオウム返しではなく、多少言葉や表現を変えていました。


だから他の受講者からも、自然で小気味よい返しに響いたのでしょう。




では、Tさんのどこが問題だったのか?


それは、Tさんが反応した"箇所"が的確ではなかったことです。




どういうことか?


話し手の話の中で、Tさんが拾った部分は、

話し手の一番言いたいところではなかったんです。




養成塾でも再三お伝えしていますが、

クライエントの一番言いたいことを押さえること。


それが話し手の話の聞き方の原則です。


しかし、Tさんが重要だと思った箇所と、

話し手が重要だと思った箇所とがズレていたのです。


Tさんが「ここが一番この人の言いたいことなのだろう」と思った。


しかし、実際話し手の一番言いたいことは別のものだった。


こうしたズレがあったのです。




考えてもみてください。




自分が一番言いたかったことと違うところに反応されたら、

あなたももう一度、一番言いたかったことを言いたくなるはずです。


現にTさんのロープレの録音を聴き返すと、

話し手は改めて自分の言いたかった所を再び話しています。


つまり、Tさんの応答の後に、もう一度同じ話をしなくてはならなくなります。




Tさんの応答は、話し手の一番言いたい箇所ではなかった。


ズレた応答を聞き、話し手はもう一度「そこではなくてこっち」と言わんばかりに

一番言いたかったことについてまた話をします。


こういうことが続いてしまうので、同じ話がループするという現象が起きます。


Tさんはそこに気づけず、同じ話のループに悩んでいたのです。




このズレがなければ、ある意味、オウム返しでも通用する場合もあります。


つまり、相手の一番言いたかったことをオウム返しする。


その場合はオウム返しだけでも、ある程度、

話が進展していくケースがあるということです。




しかし、私たちは、自分の言いたいことを十分に言葉にできない時があります。


自分の言いたいことを適切な言葉・表現にしきれない場合があります。


そうした時に、その言葉や表現をオウム返しされたら、話は深まりません。


逆に、より適切な言葉や表現にカウンセラーが置き換えて応答したら、

当然話は進展しますし、洞察も深まっていくというものです。



わざわざあいさつに来たTさんに対し、私はそのことも伝えました。


Tさんは「ああ、そうですね、なるほど、そうだったんですね」と、

私の伝えた内容に深く得心したようでした。




つまり、カウンセリングではやはり正確に聞く力と

適切に応える応答力が必須なわけです。


そして、それらを可能にするためには、

的確で深い理解を可能にする共感能力も必要です。


これらを可能にする正しい学習体験こそが、

良いカウンセリング、有益な相談業務をも可能にします。


そして、このレベルの力を自分のものにできれば、

日常の人間関係で苦労することが激減します。




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